大阪の食文化は「出汁の文化」と言われますが、その原点は水にあります。大阪一円の水は軟水で甘みがあり、どんな出汁や素材にも合い、「旨味」を引き出すのに適していると言われています。
また大阪の「旨味」は、昆布だけではありません。大阪は全国から特産品が集まる「天下の台所」。和歌山や九州、四国などから運ばれてきた鰹節や、瀬戸内沿岸や地方で作られるダシじゃこ(煮干)など様々です。
浪速料理は「出汁」を大事にし、誰もが美味いと感じていただける味を提供しております。
昆布は、北海道道南産の上質な山出しが最適です。花鰹は、血合いのないものを薄く長く削ったものが上質です。まず、水1リットルを厚手の鍋で強火にかけ、少し温まった約50度になったら山出し昆布を30グラムを入れます。そのまま強火で2~3分で、昆布の表面や鍋から水泡がたち、昆布が浮き出したら引き上げます。ここがポイントです。早すぎると昆布出汁は出ませんが、グラグラ揺らすと昆布のくどさが出てしまいます。
次に少量の水を加えて湯の温度を80度前後までおとします。鰹節は鍋底に落ちていきながら再び沸騰し始めますので、鍋の中で煽られて踊っています。アクが出たら掬い取って煮上がりを待ちます。上がってきたら火を止め、手早く別の鍋に鰹をこして出汁を取ります。この時、無理に圧を加えたりすると、鰹のえぐ味が出てしまいくどくなるのでご注意ください。
本来「旬」とは10日間という意味です。(初旬・中旬・下旬)
現在は交通・輸送の発達や、促成・抑制栽培により各地で一年中同種の物が出回るようになり、中々その物本来の旬を感じる事は出来ませんが、一産地だけを限定して食材を追ってみると、野菜・魚いずれも美味しいピークはやはり10日間位です。
例えば、和歌山のえんどう豆を青煮にしても、最も皮が柔らかく甘いのは10間間位ですし、鮎も7月に入ってから10日間位です。この時期を見極めるには、何よりも食材の目利きが大切です。また、旬の食材は他の時期に比べて最も栄養価が高いので身体にも大変良く、食材本来の美味しさが最も詰まっています。
食べて美味しく、身体にも美味しい。そして四季を味わう・・・旬の食材はまさに「天の恵み」です。
例えば、長年通って下さっているお客様などは味のお好みを把握していますし、またお客様のリクエストに応えて、その都度味を調整してますので、お客様の好みは外しません。
なるべく食材をいらわず、美味しくするのが料理人の技。必要以上の食材に手を加えず、持ち味を最大限引き出すのが料理人の技。
魚を煮付けるコツとお玉勘定は、まずは新鮮な魚を手に入れる事ですが、次に大切な部分は魚の丁寧な下処理です。このように、手間暇かけることで食材を新しい味わいに変化させます。
割烹は決して敷居の高いお店ではございません。ふらりと立ち寄って軽くお酒を飲みながら1品2品だけ食べて帰るのも良し。忙しい合間にふらりと立ち寄れる、そんな貴重なひと時を楽しんでもらい、お客様のお好みの味に応えるのが作り手の仕事です。
「柔軟」で「謙虚」な対応を心掛けながら、一品のお料理、一杯の酒に心を込めてご提供しております。皆様のご来店、お待ちしております。