春は筍。春先は福岡県合馬から、旬を迎えると京都山城からの入荷となります。筍は鮮度とアクの抜き方が大事で、湯がいたらざるに取り、それを布巾で包み蒸らして冷まします。熱いまま水に落とすと、出かけていたアクが筍の表面に残って苦くなるので、完全に冷めてから水にさらすと綺麗にアクが抜けます。
調理方法的として、土佐煮や木の芽焼きが美味しいです。えんどう豆はあっさりと青煮、わさびの花はさっと湯がいてお浸しで・・・
大阪の夏といえば「天神祭」。主役は「鱧料理」です。しかし、これは現代になって流行したもので、昔は「夏・天神祭」といえば大阪湾の魚「スズキ・タコ・アジ」でした。
特に天神祭は男の祭りでしたから、出世魚のスズキが珍重され、主に塩焼などで食べたものです。スズキは稚魚からセイゴ→フッコ→スズキと名前が変わります。タコは子ダコの時期なので、さっと湯がいて小口に切ってワサビ醤油で。アジは焼いて、酢醤油や南蛮漬けなどにします。大阪湾は昔は魚の宝庫であり、東京の江戸前に対して城前(大阪城)の魚として、夏場はアワビ・赤貝・トリガイと色とりどりでした。
秋に旨味がのってくる真鯖は、キズシにしても焼いても煮付けても何でも美味しいです。甘鯛も美味しくなり、焼いても蒸してもぐっと旨味が強くなります。また淡路の生ウニも、色が濃くなり旨味が増します。秋には種類豊富に出揃うキノコは、ホイル蒸しでも焼いても美味しいですね。銀杏は秋になると実を付け、火を入れるとひすいのような青色に仕上がります。
冬になると魚は大変脂がのってきます。中でも北海道からキンキ、石川県からノドグロ、高知県からはトロ金目鯛などが入りますが、いずれも昆布〆造り、煮付け、焼き物、蒸し物にすると大変美味しいです。また、本マグロも脂がのっていっそう美味しくなります。また寒鯖は旨味十分で「バッテラ」などにすると大変美味しく、百合根や柚子釜を使った蒸し物など、楽しい一品です。
まずは新鮮な魚を手にいれる事が大事ですが、次に大事なのは魚の下処理です。まずはうろこを落として、水で血を洗い落としたものを軽く熱湯に通し冷水に落とします。
その後、前の作業で取れなかった細かなウロコを取り除きます。そして魚に火が入りやすい様に包丁で切れ目を入れます。
鍋に日本酒・味醂・昆布出汁をお玉で1対1対2で合わせ、一度沸騰させアルコール分を飛ばします。魚の生臭さを飛ばす為には日本酒と味醂が必要ですが、どちらもアルコール分を飛ばさないと魚の生臭さが成分と結合しません。なので沸かしていないものに、魚を入れて炊き出しても生臭さはそのまま残り、煮付けられますのでご注意を。
そして、沸騰したらお玉で1/3から1/2位の砂糖を入れ、魚を入れます。魚は入れた状態で出汁が全体に被るまで入れます。アクは細目にすくい取ると、最終的に出なくなります。
アクが無くなったら濃口醤油をお玉の1/2加え煮詰めます。この時甘さ加減をみますが、お好みで砂糖を少し加えても良いです。そして魚の表面に照りが出だしたら、溜まり醤油をお玉1/3から2/5加えます。最後は醤油の香り付けで火を止め出来上がりです。醤油は長く炊くと香りがなくなり辛くなりますのでご注意を。
トツカアジ一夜干しは、紀州に根付いている脂の乗った平鰺を自家製で干した物ですので、大変脂が乗って美味しいです。そして、酒を振って香ばしく焼いた甘鯛の塩焼きは、アクセントにすり鉢で粉にしたオカキを塩の代わりにかけると、甘鯛のジューシーさとオカキの醤油の香りが良く合います。
「鱧」と言えば関西の夏の風物詩で、夏のご馳走です。しかしこの鱧は骨切りが難しく、昔から一寸に20切れと言われてきました。ただ単に、包丁を細かく入れる訳ではなく、骨に大して直角に、斜め反対から包丁を入れないといけません。鱧の湯びきは、熱湯を沸かし一割は日本酒で。沸いている所に一切れ一切れ、皮の方から落として湯がいて氷水に取り、水気を切って盛り付けます。
【天然魚のお造り三種盛】 1,900円
天然魚と野菜は地物が中心の「素材を活かしたシンプルな浪速料理」。
毎日新鮮な天然魚をご準備しております。
写真は、明石の天然鯛(春の桜鯛)、鳥取県境港水揚げ天然生マグロ、春の訪れを感じるサヨリは昆布〆でお召し上がりください。
※その他逸品料理は、50種(450円~)取り揃えております。
【イカのわたあえ】 450円
塩辛のようには、熟成させてないのが「わた和え」。イカは溜まり醤油で少し味付けし、最後に柚子を散らして・・・
【蓮根まんじゅうあんかけ】 1,000円
サクサク感と蓮根のねっとり感が銀あんと絡みとても美味しいです。女性に人気な一品です。
【明石穴子たたきポン酢】 900円
噛んでいると「じわー」っと穴子の甘味が出てきて、日本酒のあてに最高です。
【甘鯛の桜道明寺米蒸し】 1,500円~
道明寺米に包み込まれた甘鯛が大変ジューシーで桜の香りが素敵です。
【甘鯛焼き物粉がけ】 2,000円~
甘鯛のジューシーさと、オカキと醤油の香りが良く合います。
【新筍と蛸のやわらか煮の炊き合わせ】 1,300円
浪速の甘口出汁が堪能できる逸品です。
【活鱧の落とし(湯びき)】 1,700円
夏は湯引きした鱧を梅肉で。清涼感たっぷり味わいます。
【喉ぐろの塩焼き】 2,700円~3,000円
カリッととあがった皮が香ばしく、魚肉がホクホクでジューシーです。